10-54老将

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10-54老将

ビュコック「さぁさぁ!こちらへどうぞ、閣下!」

メルカッツ「では、失礼をして。よっこらせ。
       何とも狭い入り口ですなぁ?」

ビュ「(シャカシャカシャカ)どうぞお一つ。」

メ「いただきます。(ごくっ!)
  まず~~~~~い!
  おかわり!(茶碗を差し出す)」」

・・・・・・・・

メ「お庭のあの沢山の鉢はなんでしょうか?」

ビ「貴官のお館からすれば、猫の額のようなものじゃが・・・・・・・・」

メ「で、あの鉢は?」

ビュ「あれは、地球時代古くから伝わる、,『盆栽』というものじゃ。
   あの一つ一つの鉢が、宇宙を表しておっての。」

メ「ほぅ!そうなりますと、ラインハルト陛下は一つだけ。
  閣下はその何十倍もの宇宙を手にお入れになったわけですな!」

ビュ「そりゃぁ、いいわい!」

ビュ・メ「ワハハハハハハ!」

・・・・・・・・

ビュ「閣下は何かご趣味をお持ちかな?」

メ「いたって無芸な方でして。」

ビュ「それはいけませんなぁ。
   戦争、戦争と明け暮れていると、心が荒みますしなぁ。
   それにこうして、歳を取ってきますと、呆けも心配ですでのぉ」

メ「「自分では若いつもりでいましても、シュナイダーあたりには年寄り扱いされる。
  閣下のおっしゃるとおり、何か趣味でも持ちますかな。」

ビュ「頭はいつも戦場で使っているとしても、手先が・・・・・・・・
  手先を使えば、また頭にも影響があるそうな。
  出来ればそちら方面で始めるがよかろうて。

  わしにとっては盆栽じゃな。
  あれの世話は、細かくハサミを入れねばならん。
  あとは先ほど振る舞った、茶の湯じゃ。
  荒んだ心を癒してくれるでのぅ。」

メ「そうですなぁ。もう真剣に考えねばならぬ歳ですかな?
  小官も。」

・・・・・・・・

メ「そうは言っても、ホテル住まいではなぁ。
  手先を使うこと。精神によい影響を与えること・・・・・・・・

  そうだ!あれがあるではないか!」

・・・・・・・・

メ「ビュコック閣下。実は私も趣味を始めましたよ。」

ビュ「ほぅ。それはよかった。して、何を?」

メ「そこのテーブルをお借りしても・・・・・・・・?」

ビュ「構いませんぞ。ご自由にされよ。」

(テーブルの上に小さな鉄の玉を置く)

メ「ふん!(両手をかざして、気合いを入れる)」

(テーブルの上の鉄球が浮き上がり始める)

ビュ「おぉ!これはすごい!」

メ「精神の鍛錬にもなり、手も使う。狭いホテルの部屋でも出来る。
  一挙三両得というもの。ハンドパワーと申すそうです。」

ビュ「(手先を使うことを、何か勘違いされたようじゃな)」




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