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10-02 ミュラー提督筆おろし大作戦(その2)
ラインハルト「フロイライン。ミッターマイヤーが申して居った、『童貞』なる言葉をあなたはご存じか?」
ヒルダ「いいえ。あいにくと私にもわかりかねます。」
ラ「聡明を持ってなるあなたにもわからぬか。」
ヒ「私はこれでも、伯爵家の当主でございます。
市井の言葉などとなれば、知らぬものも多いかと思います。」
ラ「うむ。それはあるかもしれぬな。
ご存じのように、余は元々は貧乏貴族の育ち・・・・・・・・」
ヒ「・・・・・・・・陛下。申し訳ございません。」
ラ「なにを謝る。事実であるのだから、妙な気を回す必要はないぞ。
かえってそのような気遣いこそ、不愉快かもしれぬぞ。ハハハ」
ヒ「はい、わかりました陛下。今後は気をつけます。」
ラ「話を戻すが、市井の言葉には、十分に長けているつもりではあったが、
それでもなお『童貞』なる言葉は思い当たらん。」
ヒ「陛下。なにやら最近の諸提督方を見ていると、楽しそうにしておられます。」
ラ「まぁ、当面の驚異はないし、各地にいる提督を含め、旧交を温めさせ、
それによって士気を高めよう、というフロイラインの案に沿っただけだがな。
確かにフロイラインの言うとおりだったわけだ。
でそれが何か関係あると申されるのか?『童貞』という言葉と。」
ヒ「これは憶測の域を出ないのですが・・・・・・・・」
ラ「それで?・・・・・・・・理由は一言で、簡潔に述べられよ。フロイライン。」
ヒ「何かの遊びに使われる符丁のようなものではないかと推察します。」
ラ「ふ~~む。そうであったと考えれば、両元帥が余のあの答えのみで納得したことも、
理解できるな。
両提督が休憩の話題を提供してくれたと思えば、それでよしとするか。
すっきりしたところで、執務へ戻るぞ。フロイライン。」
ヒ「ハイ!陛下。」
ミッターマイヤー「というわけで、陛下は童貞という言葉の意味すら、ご存じなかった。」
ビッテンフェルト「となると、間違いはないと言うことか。
では、奴があの策を用いる限り、守りは鉄壁と言うことか。
クッソ~~~~~!やりおるわ。ミュラーめ!」
ロイエンタール「そういうことになるな。ハハハ」
こうして「ミュラーの筆おろし作戦」は頓挫した。
またこのとき、ビッテンフェルトの発した言葉から、ミュラー提督は『潔癖』のミュラーではなく
『鉄壁』のミュラーの異名で呼ばれることとなった。
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